2015年1月30日金曜日

レビュー 40インチ4Kモニタ BDM4065UC/11



フィリップスの40インチ4kモニタBDM4065UC/11を購入したのでレビューします.

このモニタの特徴は
  • 解像度が4k(3840x2160)で60Hz
  • PCモニタでありながら40インチの大画面
  • 価格が8~9万円と安い(他の4Kモニタと比較して)
  • VA液晶で視野角が広め
購入予約は12月頭にしたのですが,需要が高く供給が追いつかなかったようで,到着したのは1月末になりました.

1週間ほど使用したので,レビューします.

まず,良かった点からです.
  • 画面が大きい
  • 解像度は高いがドットピッチは普通なので,表示上の問題が無い
  • ハーフグレアで反射は少ない
  • フリッカーは認識できなかった
  • Displayportケーブルが同梱 
  • 付属のデスクトップ分割ソフトが便利
  • 2%横長なのは気にならない
  • 画面縁は狭い
 画面は40インチと現状テレビを除くと最大サイズです.
これまでは30インチのDell 3008WFPを使用していましたが,10インチ広くなった事で,相当快適になりました.
3008WFPを買ったときは,思いの外小さく感じて若干残念だったのですが,さすがに40インチは大きく感じました.
縦の画面サイズが,24インチ(Dell U2412M)を縦にした場合と同じくらいになります.
4k液晶テレビは10万円以上ですし,displayport無しの場合が大半なので,コストパフォーマンスはかなり高いです.
おそらく海外の安い4kテレビのパネルを流用することで,この価格を実現しているのかなと予想します.

高解像度(4k)モニタを導入する上で問題となるのが,ドットピッチが小さくなりすぎて,一部のアプリケーションの表示がおかしくなる点です.
例えば,わたしが持っているタブレットPCの富士通QH55/M(10インチ 2560x1600)は,ドットピッチが0.084 mmと小さく高精細なのですが,フォントサイズが固定になっているアプリケーションだと,相当小さく表示されてしまうことがあります(たいていの場合はWindows 8のスケーリングで問題ないです).
BDM4065UC/11の場合は,ドットピッチ0.231 mmとなっていて,27インチWQHD(2560x1440)の0.233 mmと同程度です.
そのため,面倒なスケーリング調整なしに使うことができます.
ただし,Windows 8.1の場合は高解像度モニタ用に勝手にスケーリング調整が入ってしまって,初期状態だとフォントサイズがかなり大きくなっていました.

液晶表面はハーフグレア処理になっていて,反射は少なめです.
グレア(光沢)を100,ノングレア(非光沢)を0とすると,この液晶は60~70位とやや光沢が強めに感じました.
電源オフ状態で,液晶に自分の体は移りますが,顔の表情は認識できない程度です.
蛍光灯等の光源は,それなりに映り込むので設置位置によっては不満が出てくるかもしれません.
わたしの場合は,設置場所の関係で蛍光灯の映り込みも無く,表示は綺麗なので良かったです.
液晶のざらつきやギラギラ感は殆ど感じられません.隣に置いているDell U2412Mは,かなりざらついているので,それに比べると目は疲れにくいと思います.

一部でフリッカーフリーではないため, ちらつきが気になるというレビューがありましたが,わたしは認識できませんでした.
これは個人差もあるので,他の人も大丈夫かは分かりませんが,少なくともわたしは大丈夫でした.

同梱されているケーブルが,mini-Displayport-Displayport,HDMI,VGA,オーディオ,USB 3.0,RS232となっていて,だいたい必要なものはそろっています.
Displayport-Displayportはありませんが,接続端子はDisplayportとmini-Displayportの両方があるので,接続する上では困ることはないです.
おそらくノートPC等とも接続しやすいようにケーブル片側はmini-Displayportにしているようです.
わたしのPCはNVIDIA NVS 510というmini-displayport4端子のグラフィックボードを使っていますが,同梱のケーブルで問題なく使えました.

製品付属のソフトウェアの中にSmart Desktopというデスクトップを縦3分割や上下2分割にできるものがあります.
40インチ4kという大画面のため,Windows 8.1標準の左右2分割だけだと使いづらかったので,このソフトは必須です.
分割パターンは,下の画像のパターンだけに限られていてカスタムはできません.
マルチモニタの場合は,モニタごとに分割パターンを設定できるようになっています.

 
各アプリケーションの右上にも操作アイコンが表示されて,アプリごとに分割のどの場所に表示させるかを簡単に設定できるようになっています.
 こういったソフトはフリーでもあるのですが,最初から付属しているのは親切で好感が持てました.

発売前から,横に2%ほど長くてアスペクト比が正しくないという情報が出ていましたが,デザイン用途に使っているわけではないので,全く気になりませんでした.

画面の縁は上下左右とも1cm程度と狭いので,マルチモニタにする場合にも良いです.

次に,悪かった点です.
  • 最初に電源を入れるのが難しい
  • 初期設定では30Hz
  • スタンドは調整できない
  • 視野角は狭くはないが,IPSほど広くもない
  • 背面のケーブル接続方向が画面に垂直
最初に困ったことなのですが,モニタの電源を入れることができませんでした.
同梱されているスタートアップガイドで,モニタ裏の操作ボタンを押せば電源が入るような絵が描いてあったのですが(説明文は何も書いていない),押してみても電源が入りませんでした.
結局ホームページからマニュアルをダウンロードしてきて分かったのですが,操作ボタンを長押ししなければなりませんでした.

このモニタは4kで60Hzを表示できるにもかかわらず,初期設定は何故か30Hzになっています.
おそらくHDMIで接続しても4k表示できるための設定だとは思うのですが,最初から60Hz設定にしておいて欲しかったです.

スタンドはテレビのスタンド的な作りで,向きや高さを変えることはできません.
VESAマウンタもPCで一般的な75mmや100mmではなく,テレビでよく使われている200mmになっているため,モニタアームを買うにしてもサイズ変換などを行う必要がでてきます.
私の場合は,モニタの上端が目線より若干上なので,もう少し高さが下げられるとありがたいです.
表示領域の下限は,机から約9cmの位置になっていました.

この液晶ははVAなので,IPSに比べると若干視野角は狭めです.
画面サイズと相まって,画面端の方はよく見ると色が少しだけ変わりますが,個人的には気にならないレベルです.

背面の電源とUSB端子は画面に対して垂直になっているため,本体裏はある程度スペースが必要です.
ただし,モニタスタンドの奥行きも結構あるので実は問題にならないです.
モニタスタンドを壁に完全にくっつけた場合,壁から画面表面までは13~14cm位離れます.

まとめ
現時点で一般向けPC用モニタとして最大サイズでありながら9万円以下で購入できる優れものです.
40インチ4kでの作業は快適の一言で, 購入満足度は高いです.
海外の安価な4kテレビを流用したと思われる作りで,高級感は無く,スタンドの調整機能もありませんし,アスペクト比も正しくないなど,高品質は狙っていません.
そのおかげで,9万円以下の価格設定が実現できていて,割り切って使えばコストパフォーマンスは相当高く感じます.
他メーカーが30インチ以上の4kモニタは高級路線で売り出している中,フィリップスだけ廉価版にするという,うまい戦略だと思いました.
現状で,需要に供給が追いついていないので購入しづらいですが,手に入りそうなら即購入することをお勧めしたい製品です.