2012年11月23日金曜日

レビュー:MDR-1RBT Bluetoothヘッドフォン

最近はHBS-700というカナルタイプのBluetoothヘッドセットを使っていましたが,カナルタイプのイヤフォンを使いすぎたせいか耳に痒みや痛みが出てきたので,オーバーヘッドタイプのヘッドフォンに買い換えました.買い換える上で考慮した点は以下になります.
  • 耳の中に挿入しないタイプ
  • Bluetooth対応
  • 音漏れしない
  • AVRCP
  • バッテリーが10時間位は保つ
  • 出来れば通話機能もあればよい
  • 音質は重視しない
 まず,必須条件として外耳道に挿入しないタイプということで,オーバーヘッド,ネックバンドか耳かけ型に絞りました.同じく必須条件としてbluetoothに対応している事も挙げました.ヘッドフォンにケーブルがあると出し入れするときに絡まってしまいますし,鞄や服に引っかかったりして煩わしい思いをしますが,bluetooth接続だと本体だけでケーブルレスなので,そういった問題から解放されます.一度bluetoothを使うとやめられないですね.次に,周りに人がいる場所で使うことが多いので音漏れをしないタイプである必要がありました.この条件で行くと自ずと密閉型のオーバーヘッドタイプに絞りこまれました.

後は,あれば良いなと思っていた項目としてAVRCP,バッテリーが長時間持つ,通話できるの3項目です.AVRCPはbluetoothの機能で,ヘッドホン側で操作ができるものです.再生停止,ボリューム,曲送りなどがスマートフォンなどを触らなくてもヘッドフォン側で操作できます.バッテリーの保ちはbluetooth接続で問題になる項目で,カナルタイプなどの小型の物だと2~4時間しか使えないものが多いです.一日バッテリーを気にせずに使えるレベルとして10時間くらいは保ってほしいです.通話機能は,私はスマートフォンと接続して使用するので有ると便利です.ただし,明らかなマイクがついていないタイプのヘッドセットで通話していると独り言を言っているように見られてしまうので,すこし恥ずかしいですね.

最後の項目として,音質はそこまで重視しません.私の耳自体が大したことが無いのに加えて,そもそもbluetooth接続の時点で非可逆圧縮転送されてしまうので追求しても仕方がないですね.HBS-700はカナルタイプであることを除いて全項目を満たしていて気に入っていたのですが,さすがに健康を捨ててまでは使い続けられないですね.とはいえ,カナルタイプでも問題ない方にはおすすめですね.最近apt-X(低遅延,高音質)に対応した新型のHBS-730も出ているので,そちらもおすすめです.

上記の条件を満たす物を探したところ以下の物が候補になりました.
  • CREATIVE: WP-300, WP-350(WP-350に通話機能付き), WP-450(apt-x,通話に対応)
  • SONY: MDR-1RBT
  • harman: kardon BT
  • SENNHEISER: MM 400
  • MONSTER: beats wireless
 この中から選択したのはMDR-1RBTだったのですが,決め手は連続再生30時間という断トツのバッテリー性能ですね.他の物は全て10時間前後でした.音質は重視していなかったため,視聴もせずに購入しました.そのため,これらの製品の音質や装着感等の違いは不明です.

というわけで,ここからがレビューになります.
まず,MDR-1RBTの良い点は以下になります.
  • AVRCP,通話に対応
  • 連続再生が30時間
  • 有線接続も出来る
Bluetooth接続の機能としてはAVRCPと通話に対応しています.Xperia Proのミュージックアプリにて操作可能でした.使い方は,接続後にヘッドフォン側の再生ボタンを押すと自動的にミュージックアプリがバックグラウンドで起動して音楽が再生されます.ボリュームと曲送り操作もできました.ただし,操作を受け付けるのはミュージックアプリを開いている時,HOME画面,スクリーンオフ時のみで,他のアプリを使っているときには操作を受け付けませんでした.これはHBS-700でも同じでしたので,Androidの仕様だと思われます.また,再生停止の操作が少しシビアで,曲送り操作になってしまう事がありました.(追記)長押しすれば誤操作無く停止できました.通話機能については,口元にマイクが無いですが十分にクリアな音が拾えているようで,通話相手によると普通に電話しているときと変わらないとの事でした.また,NFCによる簡単接続機能もありますが,私のXperia Proは非対応のため確認できていません.

連続30時間再生可能なバッテリーは良いですね.実際,数日充電しなくても使えています.HBS-700だと偶に充電を忘れてバッテリー切れを起こした事がありましたが,3倍保つMDR-1RBTであれば殆どバッテリー切れにあわなくて済みそうです.

有線接続機能は,付属のステレオミニケーブルで繋げば有線でも使えるというものです.有線接続時はMDR-1Rと同等の性能になるようです.バッテリーが切れることは殆ど無いとは思いますが,その場合でも有線接続できるので安心感がありますね.また,この機能があるので,家ではヘッドマウントディスプレイHMZ-T2に接続して使っています.ちなみに付属のステレオミニケーブルは片側がL字型で反対側がストレート型になっています.HMZ-T2で使う場合は明らかにストレート型の方がケーブルの収まりが良いので,両側ともストレート型のステレオミニケーブルを別に購入して使っています.

次に,良くなかった(良くないと思われる)点です.
  • 大きく重い
  • ハウジング部分の回転方向が逆だと良かった
  • 耳の周りが蒸れる
  • 密閉型だが多少は音漏れする
  • 充電中はBluetooth接続で再生できない(有線の場合は充電しながら再生可)
  • 充電端子と有線接続端子のカバーが邪魔

まず,サイズが大きいです.しかし,ハウジング部分が回転してフラットに出来てキャリングケースに入れて簡単に鞄に仕舞えるので,そこまで問題にはなりませんでした.そして,重さは300グラムもありモバイルとは言い難いですが,こちらについても装着感が良かったため重さはあまり感じませんでした.

ハウジング部分が回転してコンパクトに収納できると書きましたが,この回転方向が固定で,首に垂らした時にイヤーパッド側が表に出てきてしまいます.回転方向が逆であればイヤーパッド側が体に接してハウジング側が表に出てくるので,そちらの方が好みです.

装着感は良かったのですが,耳の周りは少し蒸れてしまいます.気温15度くらいでこの状態なので夏場は汗でびちゃびちゃになる可能性が高そうです.(かなり寒くなってきたので追記)冬場はイヤーマフ代わりになって暖かいです.

音漏れについては,少し漏れてしまうようです.外の音も結構聞こえてきます.屋外で使う場合は少し気をつけた方が良さそうです.(追記)電車の中にて,音を再生しない状態だと周りの人の会話が聞こえるレベルでした.

充電中の挙動ですが,bluetooth接続は出来ません.これについては充電の頻度が低いので特に問題にならないと思います.有線接続時は充電できました.また,有線接続時はBluetooth接続できなかったので(有線接続が優先される),何らかのケーブルを接続しているとBluetoothは機能しないようです.

充電端子(micro-USB)と有線接続端子(ステレオミニ)のカバーですが,はっきり言って邪魔です.使用頻度が低い端子であれば構わないのですが,充電端子は少なくとも1週間に1回,基本的には毎日使うにもかかわらずカバーがついているのは煩わしいです.有線接続の頻度は低いせいかもしれませんが,ステレオミニプラグにカバー付けている物なんて殆ど無いと思うのですが,それなりに需要があるものなのでしょうか.現在は切り取ってしまうことを検討しています.

最後に評価出来ていない点です.
  • 高音質らしい
これは私の耳が残念な性能であるためという可能性が極めて高いのですが(難聴というわけではありません),特別音が良いとは思いませんでした.私は他にHBS-700とノイズキャンセリング機能付きのATH-CKS90NCというイヤフォンを持っていて,どちらも高音質を売りにしている機種では無いのですが,それらと比べても明らかに優れているという事は感じませんでした.(追記)久しぶりにHBS-700を使ってみると明らかに音質が悪かったです.HBS-700は高音低音ともに出ていないのに対して,MDR-1RBTはどちらも出ています.ただし有線接続のATH-CKS90Nと比べての優劣は良く分かりませんでした(低音好きなのでATH-CKS90NCの方が好み).Bluetooth接続としては高音質で間違いないようです.有線接続している場合も大きく音質が改善しているとは感じませんでした.(追記)良く聞き比べると有線接続している時の方が音質は良かったですが,やはり劇的に高音質になるというようには感じられません.私の感覚では無線でも十分であるように思います.この点については耳が良い人のレビューを参考にして頂いた方が良いと思います.

まとめ)
項目数的には良くない点の方が多かったですが,致命的に悪い点は無く,総合すると良いと思います.bluetoothの機能は一通り押さえられていますし,何よりバッテリーの保ちが競合製品を圧倒しています.ある意味致命的なのは,製品としては高音質であるにもかかわらず,それを私が体感できる人間では無かった事かもしれませんね.

サイズに関しての追記 

MDR-10RBTとの比較レビュー

2012年11月8日木曜日

Media Goアップデート(moraに対応)

10月からmoraがDRMなし楽曲配信を開始していましたが,アプリケーション側の対応が十分でない状態がしばらく続いていました.Walkmanを使っている場合はx-アプリを使用すれば良いので問題ないのですが,Xperia等のスマートフォンで使用する場合は転送にMedia goというアプリを使用する必要があり,こちらはmoraへの対応が1ヶ月近くかかりました.問題だったのは以下の2点です(現在は改善されています).

  • moraで購入した楽曲を何故かムービーとして認識してしまい,ミュージック側のライブラリに登録されない
  • Media goからmoraストアに接続できない
もちろんスマートフォンなので,直接ファイル転送してしまえば再生できますし,Androidアプリ版のmoraを使えば直接ダウンロードすることも出来ます(使い勝手は良くないですが).何故Media goを使うのかというと,いくつかメリットがあるからです.
  • SenseMeという曲調の自動解析機能が使える
  • プレイリスト作成が楽
SenseMeは曲のテンポやムードを自動で解析する機能で,12音解析やミュージックソムリエなどと同じ機能です.これを使えば似た曲調のプレイリストが簡単に作成できます.また,プレイリスト作成についてですが,機能的には特別なことが出来るわけではなく普通に楽曲を登録していくだけの物なのですが,そのままスマートフォンに転送できるのでXperiaとの組み合わせでは楽に使えるということです.

moraでのDRMなし楽曲配信開始時に20~30曲ほど購入してみたのですが,普段使っているMedia Goで曲を認識できなかったので面食らいました.適当なフリーソフトを使っていた場合なら納得も行くのですが,moraとMedia Goともにソニーグループ製なので驚きました.結局,自分で直接スマートフォンに曲を転送して,プレイリストも自分で直接作成して使用していました.私からするとDRMなし楽曲配信は大ニュースだったのですが特に大きなニュースとして取り扱われていなかったことから,ソニー自体がそれほど力を入れていないのかもしれませんね.完全に今日(11月8日)報道されたiTunesへのソニー系楽曲配信のニュースとは規模が違いました.こちらは各方面で大反響を呼んでいますね.

というわけで,不満たらたらな感想でしたが最新版へのアップデート後は普通に使えています.

2012年11月2日金曜日

レビュー:SONY HMZ-T2(とアイトレックの比較)(そういえばバーチャルボーイ)

3Dの映画を自宅で見るために購入しました.以前,初期型アイトレックを使っていたので15年ぶりのヘッドマウントディスプレイです.普通のレビューは色々出ているので,アイトレックとの比較という観点でレビューしてみたいと思います.
まず,HMZ-T2が勝っている点です.
  • 解像度が高い
  • 画面が大きい
  • 3Dがみられる
  • 遮光カバーが付属している
  • イヤホンが交換可能
まず解像度が1280x720と高いです.アイトレックは320x240位だったのでドットが見えすぎる状態で字幕が読みづらかったのですが,HMZ-T2ではドットは殆ど気になりません.次に画面の大きさですが,アイトレックが60インチ相当だったのに対して,HMZ-T2は750インチと大幅にアップしています.ですが,体感的にはそこまで大きくなっているようには感じません.どちらも壁などにある物などと比べると確かに表示上のサイズがあるように感じるのですが,体感ではそこまで大きく感じないです.このあたりは人によって感じ方が違うと思いますが,私はヘッドマウントディスプレイの画面では大きさを感じにくいようです.次に3Dですが,これはHMZ-T2の圧勝ですね.自宅で高品質の3D映像が10万円以下で鑑賞できるというのは素晴らしいです.ただし,3D映像についてはコンテンツ側が追いついていない状態ですね.3D対応のBlu-rayの数はまだまだ少ないですし,トイ・ストーリーのようなCG系が多いですね.実写映画でも3Dが増えるとうれしいですが,普通の3Dテレビだと専用メガネをかけないといけないので,なかなか普及はしないでしょうね.次は遮光カバーがついている点です.遮光カバーの有無は没入感にかなり影響を与えますが,アイトレックではオプションでした.買えば良いじゃないかと思うかもしれませんが,その当時はヘッドマウントディスプレイはニッチ産業で,どの電気屋にも置いてあるようなものでは無く,ましてやオプション品に至っては簡単には手に入らない状態でした.そういった事を経験しているので,最初から遮光カバーがついているのはありがたいですね.最後はイヤホンが交換可能ということです.アイトレックは本体から直接イヤホンが出ていたのですが,長く使っていると断線してしまいますよね.それに対してHMZ-T2は交換可能ですので,万が一断線しても安心ですし高級なイヤホンに交換することも出来ます.実際,私は重低音が好きなのでaudio-technicaのSolid Bassシリーズの物に交換しています.

次にアイトレックに負けている点です.
  • 大きく重い
  • 装着と調整が難しい
まず,大きく重いことです.アイトレックはメガネ的なサイズで主さも100g強でしたが,HMZ-T2はT1から軽くなったといえ300g以上あり本体も大きいです.HMZ-T2は座った状態だと重力で下にずれてくるので,基本寝た状態で使うようにしています.使った後はおでこと鼻に跡がきっちりつきますね.まあ,アイトレックも鼻には跡がついたので,どっちもどっちですね.そして,HMZ-T2の最大の問題点は装着と調整が難しいことです.アイトレックは鼻パッドの高さだけ調整できるようになっていて,メガネの様にかければ使えるという簡単なものでした.それに対してHMZ-T2は,おでこパッドの位置,頭のベルト2本の長さ調整,左右のレンズ位置の調整というように調整する項目が多いです.おでこパッドとベルトの長さをうまく調整しないと,すぐに本体がずれてきて映像がぼやけてしまいます.左右のレンズ位置の調整は簡単ですが,装着具合によっては再調整が必要なため,たまに調整しないといけないことがあります.このあたりは大画面による弊害なのでしょうね.最近は慣れてきて調整具合が決まってきたので楽になってきていますが,アイトレックのメガネの様にかけて即見られるというのは素晴らしいですね.

こんな感じでHMZ-T2とアイトレックの比較をしてみましたが,当たり前ですがHMZ-T2の方が相当優れています.とはいえ,アイトレックは15年前に発売されているという点を考慮すると健闘していますね.去年は色々あったオリンパスですが,やはり光学系の技術力は高いのだなと思い知らされます.つい最近ソニーとオリンパスが医療機器関係で提携することが決まりましたが,ヘッドマウントディスプレイでも提携してもらいたいですね.